ポーカーの皆さんこんにちは。
本記事では、「アンブロック」について解説していきます。
アンブロックの概念は比較的新しく、最近は上級者の方がよく使うような概念となります。
本記事では、アンブロックの意味とアンブロックについて考えるシチュエーションを解説していきます。
はじめに
まずはじめに、「ブロッカー」をご存じでしょうか?
もしブロッカーについて理解が浅い方は、以下の記事で解説しておりますので、まずはそちらをお読みください。

軽いおさらいですが、
ブロッカーとは、相手が特定のカードを含むハンドを持っていることをなくす(または可能性を低くする)カードのことを言います。
アンブロックとは?
「アンブロック」とは、相手があるハンドを持っている確率を下げないようなカードを持つことを指します。
つまり、あなたが特定のカードを「持っていない」ことにより、相手がその特定のハンドを持っている可能性を高める、ということです。
例を用いて解説いたします。
例えば、あなたがK♦J♦を持っていて、ボードがT♦2♣5♦ 5♠ A♠ だったとします。
あなたはこの場合、ダイヤモンドを二つ持っていることにより、相手がフラッシュドローをミスしたハンドを数多くブロックしてしまっています。
反対に、あなたが同一のボードでK♥J♥を持っている場合、あなたがダイヤモンドを「持っていない」ことにより相手がフラッシュドローをミスしたハンドをアンブロックしていると言えます。
このように、あなたがあるカードを持っていないことが、結果として相手があるハンドを持っている可能性が高くなることを、「相手のハンドをアンブロックしている」と言います。
アンブロッカーの重要性
相手のハンドをアンブロックしていることは、バリューベット、ブラフベット、コール、どれをするにせよ非常に重要となります。
バリューベット時のアンブロック
バリューベットを打つ際に、相手がコールしてくれそうなハンドをアンブロックしていることは重要となります。
例えば、あなたがカットオフからプリフロップでオープンレイズをし、ビッグブラインドがコールをしたとします。
フロップ: J♥ 6♠ 2♠
このボードで、あなたは J♠J♦と 2♣2♦どちらのハンドの方がスロープレイが推奨され、どちらのハンドの方がバリューベットをするべきだと思いますか?
考えてみましょう。
正解は、J♠J♦ではよりスロープレイし、 2♣2♦ではよりファストプレイです。
なぜか、わかりますでしょうか?
理由としては、まずJ♠J♦はJを持っていることにより相手があなたのベットにコールしてくれるであろうトップペア、更にはスペードを持っていることによりフラッシュドローを「ブロック」してしまっています。
一方で、2♣2♦はどちらの相手のコールレンジも持っておらず、より相手からコールがもらえる可能性が高い、つまりは相手のコールレンジを「アンブロックしている」のでファストプレイをしてポットを早くから焚き上げるべきなのです。
ブラフ時のアンブロック
アンブロックの概念は、ブラフを仕掛ける時のハンドを選ぶ際に非常に役立ちます。
ブラフをするハンドは、以下の二つの条件を満たしていることが重要です。
・相手のコールするレンジをブロックしている。
・相手のフォールドするであろうレンジをブロックしていない。
です。
例えば、
あなたがハイジャックから2.5bbのオープンレイズをし、ビッグブラインドのみがコールしたとします。
フロップ:T♠ 7♦ 2♥
相手がチェック、あなたはポットの50%のベットをし、相手がコール。
ターンは 4♣
相手はチェック、あなたは75%のポットベットをし、相手がコール。
リバーは 3♥
さて、この状況の場合、K♥Q♥と 9♦8♦はどちらの方がブラフに適していると言えるでしょうか?
考えてみましょう。
正解はK♥Q♥です。
あなたがストレートドローやフラッシュドローをミスしたハンドを持っている場合、基本的にブラフには適していません。
9♦8♦は相手の98や96、86などのストレートドローをブロックしてしまっています。
一方でK♥Q♥は上記のようなハンドを「ブロックしていない」(アンブロックしている)ことに加え、相手の持ちうるKTやQTをブロックしています。
相手が98や96、86を持っている場合、相手はあなたのリバーのベットに対してほぼ確実にフォールドをしてくれます。
これらのハンドを「アンブロックしている」ことにより、ビッグブラインドがコールする可能性を低くできます。
ブラフキャッチ時のアンブロック
アンブロックはブラフキャッチをする際に非常に重要です。
相手のブラフをキャッチするかどうかを決める際は、そのハンドがなにをブロックしていて、反対になにをアンブロックしているかを考えることが大切です。
例えば、
あなたがビッグブラインドに座っており、ボタンからのオープンレイズにコールを選択したとします。
フロップ: T♠ 8♠ 2♦
あなたはチェックし、相手は33%のコンティニュエーションベットをし、あなたはコール。
ターン: T♠ 8♠ 2♦ 5♥
あなたはチェックし、相手はポットの70% のベットをし、あなたはコールを選択。
リバー:T♠ 8♠ 2♦ 5♥ 3♣
あなたはチェック、相手がポットの75%のベットをし、あなたのアクションです。
さて、この状況ではT♣9♣とT♣4♣ではどちらの方が
ブラフキャッチに最適と言えるでしょうか?
ここでもブロッカー、アンブロッカーについて考えてみましょう。
……
……
正解は、T♣4♣です。
T♣4♣の方が弱いハンドにも関わらず、この状況ではブラフキャッチにより適しています。
そもそもT♣9♣とT♣4♣どちらとも、相手がブラフをしている場合は勝っていて、相手がバリューベットの時は確実に負けているようなハンドです。
なぜなら相手がT♣7♣のようなマージナルなハンドでトリプルバレルしているとは考えられず、そうするとこちらがT♣9♣を持っていようがT♣4♣を持っていようが、ハンドの強さは関係ないと言えます。
4♣は、相手のQ9、J9、97や96などのストレートドローをブロックしていません。
反対に、9♣は上記のブラフハンドをブロックしてしまっています。
以上の理由により、
T♣4♣がアンブロックしてるハンドを考慮すると、T♣4の方が「ブラフキャッチに適したハンド」と言えるでしょう。
まとめ
ブロッカーやアンブロッカーは、難しいですが、大事な局面の時は非常に重要な要素の一つです。
特にリバーではお互いのレンジがより絞られていることから、このようにアンブロッカーを使い判断に役立てることができます。
非常に難しい概念ですが、これを考えるのは役立つだけではなく、非常に楽しいです。
アンブロッカーによりポーカーの深さを知れることができ、また一層上の論理思考ができるようになると思います。
本記事での解説は以上となります。
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