ポーカー民のみなさんこんにちは。
今回の記事では、ポーカーにおける「リンプ」について完全解説をしていきます。
本記事では、まずなぜリンプをするのがいけないのか、そして相手がリンプをしてきた場合の対策をお話していきます。
リンプとは
「リンプ」とは、プリフロップにレイズではなく、ビッグブラインドの金額だけをコールしてハンドに参加することを指します。
通常、初心者がやりがちなミスプレイとされています。
これからはリンプしているプレイヤーをみたら、そのプレイヤーのことをATMだと思ってください。
この記事を読めば、リンプしているプレイヤーを見るたびに、お金儲けのチャンスだと思うようになります。
オープンリンプをしてはいけない理由
もしあなたがポーカーをプレイしているのなら、プリフロップでオープンリンプをしてはいけません。
オープンリンプ(プリフロップで最初のプレイヤーとしてビッグブラインドの価格をコールするだけ)は、基本的に良い戦略とは言えません。(※ただし、誰かがリンプした後に被せてリンプすることとは全く別物です。)
以下より、「なぜリンプが悪いプレイなのか」を解説していきます。
まずリンプというのは受動的なプレイで、当たり前ですが、リンプをすることでプリフロップにおいてポットを獲得できる可能性はありません。
プリフロップでレイズした場合、ポットを獲得する方法が3つあります。
です。
リンプをすることによって、プリフロップでポットを絶対に獲得できないだけでなく、ポストフロップでポットを奪うことも難しくなります。
なぜなら、誰かがオープンリンプをしてしまうと、そのポットは他のプレイヤーも参加してくる可能性が高くなります。
マルチウェイになると、勝率が分散されて、あなたがそのポットを獲得できる確率が大幅に下がります。
他の記事でも紹介しておりますが、こちらの図は最強ハンドの一つであるAKの人数別の勝率を表したものです。

最強ハンドのひとつであるAKsでさえも、ランダムなハンドを持っている三人を相手にすると、約40%の勝率しかありません。
プリフロップでレイズをすることで、できるだけハンドの参加人数を減らし、ポットを勝ち取る確率を上げることは非常に重要となります。
また、リンプをすることによって、相手はあなたのレンジを一定度絞ることができ、あなたのハンドは読まれやすくなってしまいます。
例えば、多くの初心者のプレイヤーは小さいポケットペアなどを持っている際、リンプをして安くフロップを見ようとします。
そんなことをしたら簡単にハンドが読まれてしまい、相手からつけ込まれてしまいます。
よく、「じゃあバランスを取るためにAAなどの強いハンドでもリンプすればいいのでは?」という方がいますが、それは愚策中の愚策です。
それらの強いハンドでリンプをすると、せっかくの強いハンドなのにも関わらず勝った際に獲得できるチップの量が減り、さらにはマルチウェイになりやすいことからそのポットを取れる確率さえも大幅に減少してしまいます。
なので、リンプをするくらいそのハンドに自信がないのなら、最初からフォールドしましょう。
リンプをしないだけで、初心者脱却へ1歩近づけます。
とりあえずはリンプをしてはいけない理由はわかりましたでしょうか?
以下からは、もしあなたがリンプしているプレイヤーに直面したらどうするべきか、その戦略を解説していきます。
相手のリンプに対してのプリフロップ戦略
リンパーに直面した際は、大きく分けて2つのアプローチがあります。
どちらの戦略も、相手のリンプに対してレイズをして、アイソレートを試みます。
スタックサイズ、相手のスキルなどの要素を考慮し、以下の二つの戦略を選ぶのが良いでしょう。
1. タイトにプレイする
相手のリンプに対してタイトにプレイすることはセオリー的には理にかなっています。
相手のプレイヤーがリンプをするとき、そのプレイヤーは自動的に自分のハンドについてある程度の情報をくれていることになります。
9♣3♥のようなランダムで非常に弱い手をリンプするプレイヤーもいることはいますが、ほとんどのプレイヤーは流石にそのようなハンドはフォールドします。
相手は、KJoやATo、T8sなどのスーテッドのハンドや、小~中程度のポケットペアなどのある程度強いハンドを持っている可能性が高いことから、こちら側もハンドを厳選し、タイトにプレイするのは理にかなっています。
特に、あなたの後ろのプレイヤーから高頻度でスリーベットが飛んでくる場合、タイトなアプローチを取る方がベターと言えるでしょう。
しかし、もしあなたが下手なプレイヤーや経験の浅いプレイヤーが多いテーブルでプレイしているなら、より良いアプローチは以下になってきます。
2. ルースにプレイする
リンプする相手に対してルースにプレイすることは、現実的に一番良い戦略であることが多いです。
理由としては、プリフロップでオープンリンプを多用するプレイヤーは、基本的には弱くて受動的なプレイヤーでることが多いことから、あなたがエクスプロイト(チップを搾取)する対象にできるからです。
基本的にオープンリンプをするようなプレイヤーは下手で弱いプレイヤーです。
そもそもリンプをしている時点で、ポーカーについての理解が浅いと言っているようなものです。
できるだけそういったプレイヤーと一緒にポットをプレイする機会を伺いたいことから、ルースにプレイすることは「理にかなっている」と言えます。
リンパーを相手にルースにプレイする戦略を取るのが最適か否か判断するには、以下のように他にも重要な要素を考える必要があります。
・リンパーがリンプ→3ベットをすることがほとんどない。
・あなたがディープスタックでプレイしていて、弱いプレイヤーに対して期待値が高くプレイすることができる。
・後ろのプレイヤーがタイトで、3ベットをしてくる可能性が低い。
なお、リンパーをアイソレートするためのベットサイズに関しては後ほどお話致します。
リンプしてくる弱いプレイヤーに対して、できるだけチャンスを無駄にしないようにしましょう。
彼らを孤立させて、リンプをやめるまで、徹底的に厳しい状況に追い込みましょう。
リンプするプレイヤーから根こそぎスタックを取るためのコツ
全てのリンパーに対して、同一の戦略を取るのはいい戦略とは言えません。
リンパーの特徴に応じて、あなたのアイソレートレイズレンジも変えていくことが必要となります。
※レンジについて理解が浅い場合、以下の記事をお読みください

お勧めとしては、情報がないうちはタイトなレンジでアイソレートレイズをしましょう。
序盤の情報がない状況では、相手がリンプ→フォールドが多いか、ポストフロップでミスプレイが多いかなど、分からないことが多いので、弱いハンドでアイソレートし利益を得るかどうかは分かりません。
一方で、以下の要素によって、レイズするハンド数を増やしていく等、戦略をアジャストすることができます。
・ポジションがある場合、アイソレートレイズを多くし、アウトオブポジションの時は少なくする。
・後ろにいるプレイヤーがアグレッシブで3ベットの頻度が多い場合、レイズのレンジを狭くし、そうでない場合は緩くする。
・相手がリンプ→フォールドが多ければ、より広いレンジでアイソレートレイズをする。
・リンパーがポストフロップでアグレッシブにプレイしてくる場合、レンジを狭め、そうでない場合はルースに広げる。
これらの要素によって、そのテーブルごとの最善の戦略を見極めましょう。
参考までにもう一つレンジの例を挙げておきます。ノマドポーカーが推奨するボタン vs リンパーのレンジ表です。

赤=必ずレイズ 水色=オプショナル(相手によってレイズまたはコール・フォールド) それ以外=フォールド
リンパーがルースで上手くないプレイヤーであればあるほど、より多くの水色の箇所のハンドでレイズすることが利益的となります。
ポストフロップにおいては、リンパーに対してはバリューベット、ブラフベットどちらも戦略が異なってきます。
※そもそもバリューベットとブラフベットに関する知識が浅い方は、こちらの記事をまずはお読みください。

バリューベットVSリンパー
トリッキーなプレイは避け、できるだけファストプレイを心がけましょう。
特にリンプをするプレイヤーは少しでも役やドローがあればフォールドをするのが嫌いなため、
バリューレンジを広げ、大きめのベット(66%から105%のポット)をして、ダブルバレルも頻繁に行い、最大限バリューを取るよう意識しましょう。
特にリンパーに対しては積極的にシンバリューを最大限取りに行きましょう。
リンプをするプレイヤーは、先ほどお話した通り通常コーリングステーションでもあるので、普通の堅実のプレイヤーよりもドローがあったらなかなか降りません。
そういったプレイヤーは通常、ポットオッズの基本的な概念がわかっていなく、インプライドオッズを過大に評価して、ストレート、フラッシュ、セット、あるいは超ランダムなハンドでツーペアなどを狙って弱い手で大きいベットをコールする可能性が高いです。
よって、フロップとターンにおいては特に、通常よりもずっと薄いバリューを狙うことは、非常に利益的なプレイとなります。
ブラフVSリンパー
リンパーはなにか役ができればフォールドをしたがらないですが、反対にフロップでボードに絡まなければすんなりとフォールドすることが多くあります。
そういった相手に対しては、ブラフするハンドの種類を増やしましょう。
例えば、ガットショット、オープンエンドのストレートドロー、フラッシュドローなどと追加して、
ツーオーバーやバックドアフラッシュドローなどでもブラフすることが利益的になります。
特に、A♠6♦2♣のようなドライでAハイのフロップでは、オーバーカードになるようなハンドがないため、相手がコールをしてくるハンドが非常に少なくなります。
なので、こういったフロップにおいてはほぼ100%のレンジでポットの約30%のベットをすることが利益的となります。
一方で、フロップでもしブラフが成功しなかったら、潔く諦めましょう。
前述したように、レクリエーショナルプレイヤーはフロップでのコールレンジが極端なことが多いです。
言い換えれば、フロップでコールしてきたということは、何かしらのハンドを持っていることが多く、ターンで継続してブラフしても降りてくれないことが多いです。
そういった相手に対しては、ターンでのブラフは慎重になり、フロップでブラフを失敗したのなら諦める、というある種のヒット&ゴー戦略が最善となります。
ただし、相手がフロップでコールしたのち、ターン・リバーと続けてチェックをした場合、リバーでオーバーポットのブラフベットをすることも非常に効果的です。
理由としては、こういった素人のプレイヤーが強いハンドをチェックしているとは考えづらく、更には相手は素人なので「ブラフキャッチをする」という概念が基本的にないです。
こちらがもしポットの2倍の額をベットした場合、かなりの確率で降りてくれることが多いため、利益的にブラフをすることが可能となります。
リンパーに対してのベットサイズについて
基本的に、リンプしたプレイヤーをアイソレートする場合は、
オンラインでは3bb+1bb×リンプの数
ライブでは4bb+1bb×リンプの数
のレイズをしましょう。
例えば、オンラインキャッシュゲームであなたがボタンに座っていてUTGのプレイヤーがリンプ、カットオフのプレイヤーがそのリンプにコールをした場合は、3bb+1bb×2の5bbのレイズをしましょう。
このレイズサイズが最適であることは理論的に証明されていますが、ライブのキャッシュゲームなどで、例えばリンパーがあなたの5bbのレイズを躊躇なくコールするような場合は、そのプレイヤーがフォールドし始めるまでどんどんレイズサイズを上げていくのが得策です。
そうすることで、できるだけ大きなポットで、アドバンテージを持ちつつフロップを見にいくことができるようになります。
また、相手がショートスタックの場合(50bb以下など)、小さいポケットペアでアイソレートレイズをするのは避けましょう。
基本的には小さいポケットペアでのアイソレートレイズは、素人相手にスタックを根こそぎ獲得できる可能性があるため、良いプレイと言えます。
しかし、相手がショートスタックの場合は話は別です。
相手がディープで、プリフロップの賭け金額の15-30倍を持っている場合は良いのですが、相手のSPRが5以下のポットの場合、期待値的に微妙になってきます。
ですので、相手がショートの場合は、強いトップペアを作れるハンドでアイソレートする方がベターとなってきます。
以上のことからスモールポケットペアは通常リンプビハインド(リンプで被せる)で構いませんが、後ろにアグレッシブなプレイヤーが大勢いる場合はフォールドも検討しましょう。
リンパーに対して取るべきエクスプロイト戦略2選
最後に、経験則に基づいたリンパーに対して、非常に有効なエクスプロイト戦略2つを紹介いたします。
相手がリンプ→3ベットをしてきたら、非常に強いハンドを持っている可能性が高いと考える。
特にライブポーカーを長くやっていると、AAやKK、QQでリンプ→3ベットをしようとするプレイヤーを非常によく見ます。
これに関してはオンラインでも起こりますが、リンプは通常、レイズするほど強いハンドではないと考えるか、AKやJJ+のようなプレミアムハンドでトラップしようとしている可能性が高いです。
ごく稀にブラフでやってくるプレイヤーもいますが、たいていは非常に強いハンドでやってきているので、それに応じてあなたのプレイを調整するのがベストです。
Cベットした後にレイズが返ってきたら、フォールドを多めにする。
プリフロップでリンプするプレイヤーは基本的にパッシブな傾向が強く、特にドローなどではレイズではなくコールすることが多くなってきます。
ボードがドライだとしても、そういうプレイヤーは適当なハンドをプレイしていることからこそ、あなたが予想しているよりも高い頻度でツーペアを持っている可能性があります。
そのため、もし相手があなたのCベットをレイズしてきたら、通常よりもタイトにプレイし、フォールドの回数を増やすことを検討しましょう。
まとめ
ポーカーのあらゆる場面で言えることですが、相手のリンプに対して最善の戦略を取るには、様々な要素が絡んできます。
それぞれの状況に応じて論理的に戦略を立て、相手が各ベットサイズに対してどのように反応するかをできるだけ観察して、ベストなアプローチを心がけましょう。
以上となります。
この記事により皆さんが更に勝てるようになれば幸いです。
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