ポーカー民の皆さんこんにちは。
本記事では、「ポーカー初心者、中級者にありがちなミス」について解説していきたいと思います。
ポーカーは複雑なゲームです。
ポーカーで勝つための方法は一つではなく、ゲームの奥深さと戦略の多様性がポーカーの面白さの一つです。
ただ、その分、ミスをしてしまうことも多くなります。
ポーカーにおいて、「ミスをしない」ということは実は良いコールやベッドをすることよりも重要となります。
もしあなたが現在、以下で解説する5つのミスプレイのうち一つでもやっていたら、できるだけ早く直すことが重要です。
間違い①:自分のハンドを過大評価しすぎる
自分のハンドを過大評価することは非常に危険で、初・中級者に多くみられるミスの一つです。
この傾向は、ポストフロップで特に多くみられ、自分のハンドの強さを見誤るせいで、相手の強いレンジに対してミスコールやレイズをしてしまうことが多々あります。
以下の例を見てみましょう。
UTGのプレイヤーが3bbのオープンレイズをしたのに対し、あなたがBTN(ボタン)からA♣5♥でコールを選択。その他プレイヤーはフォールドを選択。
フロップ(7.5bb):A♠K♥T♦
相手がチェックをし、あなたが3bbのベット。相手はコールを選択。
ターン(13.5bb):A♠K♥T♦ 9♥
相手はチェックをし、あなたは6bbのベット。すると相手が20bbのレイズをしてきて、あなたはコールを選択。
リバー:(53.5bb)A♠K♥T♦ 9♥ 4♠
相手は30bbのベットをしてきて、あなたはコール。
相手はK♣K♠をショウし、あなたはハンドをマック。
この例を振り返ってみましょう。
まずはプリフロップです。
A5oは、BTNからコールするには圧倒的に弱すぎます。
特にA5oのような弱いAxのハンドは、もしAがヒットしてもキッカー負けをしていることが多く、リバースインプライドオッズと言われる、負けている時に多くのチップを失う可能性が高いです。
一方で、仮にA5oで相手より強いペアを形成できたところで、ボードにAが落ちていることで警戒されてそこまでバリューも取れません。
つまりはインプライドオッズも高くないハンドなのです。
上記の理由により、相手のベットに対してA5oはプリフロップで決してコールはするべきハンドではないです。
フロップでは、A♠K♥T♦ といったUTGのオリジナルレイザー側に非常に有利なボードが出ました。
相手のレンジに有利なボードにも関わらず、相手のチェックに対してベットを選択してしまっています。
更にはターンでも中程度の強さのハンドであるのにも関わらず、相手がコールをしてきたレンジについて考えることなくベットをしてしまっています。
その結果、相手からレイズが返ってきてしまい、トップペアを降りれずにずるずるとコールをして大きなポットを落としてしまっています。
Aのトップペアだからといって、相手のレイズなどのアグレッシブなアクションに対してこのハンドは決して強いハンドとは言えません。
相手が完全にブラフをしていない限りは、A6以上のエース、KT、K9、QJ、AA、KK、TTといった数多くのハンドに負けています。
主観的ではなく、常に客観的に自分のハンドの強さを見極めることが重要です。
間違い②:ルースにプレイしすぎる
ポーカーで負ける原因の中で最も一般的でよく見られるのは、ルースすぎるプレイです。
特に初心者のプレイヤーに多く見られる傾向です。
この間違いに関しては、上級者のプレイヤーもたまに犯しており、弱いプリフロップのハンドレンジにもかかわらず、スキルによってポストフロップで相手を打ち負かすことができると考えてしまっています。
残念ながら、いくら上手いからと言って、弱いプリフロップレンジで勝つことは非常に難しいです。
もちろんある程度ルースにプレイすることが利益的になることもありますが、ほとんどの場合はルースすぎるプレイは損失に繋がります。
ルースすぎるプレイは、ハンドの選択が悪いががために、ショーダウンでポットを失うことが多いということです。間違い①の例でも出たことと同じです。
フォールドは「つまらない」と思うかもしれませんが、成功するプレイヤーになるためには必ず忍耐力が必要となります。
ハンドを適切に厳選することで、単に勝率が上がるだけでなく、フロップ後の判断もしやすくなります。
間違い③: タイトすぎる
上記のミスとは反対に、ルースにプレイしまいと考えているプレイヤーは、たまに過剰にレンジを調整し、タイトすぎるプレイをしてしまうことがあります。
タイトにプレイするのは基本的に良いことではありますが、いくつか問題点もあります。
代表的な問題点は、「相手からしたら対戦しやすくなってしまう」ことです。
特に、AA-JJ、AKのようなプレミアムハンドでしか3-ベットをしないようなプレイヤーであったり、ツーペア以上のハンド以外は3回のストリートに渡りベットしないようなプレイヤーは非常に戦いやすいです。
明らかにタイトなプレイヤーがアグレッシブにプレイをしてくると、こちらは非常に強いハンド以外は全てフォールドできてしまいます。
ある程度のルースさも兼ね備えないと、最大限相手からお金を巻き上げることができなくなります。
特に、ほとんどのプレイヤーはプリフロップでのスリーベットの頻度が必要よりも少ないことが多いです。
以下の記事で、スリーベットの重要性と、どのようなハンドでスリーベットをするべきかを解説しております。

中程度の強さのハンドの扱いは難しいかもしれませんが、そういったハンドをプレイすることで上手いポーカープレイヤーに一歩近づけます。
プリフロップのレンジを一定度まで広げ、バリューハンドとブラフのバランスをとることで、タイトすぎるプレイを避けることができます。
そうすることで、より手強いプレイヤーになれるでしょう。
間違い④: 戦略が固定化しすぎている
もう一つ中級者の方にありがちな間違いは、自分の戦略を定めて、それをどんな状況でも一貫してその戦略に縛られていることです。
基本的に核となる戦略を持つことはポーカーにおいて必須です。
しかし、ポーカーは非常にダイナミックなゲームであり、一番効果的な戦略は様々な要素によってその時々変化します。
そのため、一つの戦略だけに固執することは避けなければいけません。
例えば、普段はプリフロップにおいて相手のレイズに対してコールをあまりしないスリーベットorフォールドの戦略を取っている人は、初心者のプレイヤーが多いテーブルにおいては、ミドルポジションからもコールをするレンジを増やす、といった戦略の調整ができます。
異なる状況下で異なる戦略を取り、自分のプレイスタイルをより流動的にすることが成功への秘訣となります。
まずは核となる戦略を持つことはもちろん重要ですが、相手があなたの戦略に対抗するため調整をしてきた場合、あなたは戦略の再調整をするべきです。
いかなる状況でもそれぞれに合った戦略を使うことは、勝てるポーカープレイヤーになるための最重要要素です。
間違い⑤:アクションの計画を立てずにプレイをする
初級~中級者の方は、後のストリートでのプランを考えずに各場面場面のアクションを取ってしまうことがよくあります。
どのようなハンドでも、後に取るべきアクションを計画することが重要です。
例えば、以下の例を見てみましょう。
オンライン $0.1/$0.25, 有効スタック100bb
あなたが BTNで、8♥7♥を持っているとします。
COが3bbにオープンレイズをし、あなたはコールを選択、その他のプレイヤーはフォールドしたとします。
フロップ (ポット: 7.5bb): T♥4♣2♠
COがチェックをし、あなたのアクションです。
このフロップで相手がチェックしてきた場合、あなたは現状8ハイで、ショーダウンバリューがないため、ブラフを仕掛けることは有効です。
ただ、このようなフロップでベットするかどうかを決める時は、相手がどのようなアクションをしてくるか、そして今後のストリートで何が起こるかを考慮することが非常に重要となります。
あなたのベットに対して相手が取りうるアクションを考えてみましょう。
・相手がフォールドをする。
相手がフォールドをする可能性は大いにあります。あなたは現状8ハイなので、明らかに良い結果となります。
・相手がコールをしてくる。
相手がコールをしてくることで、フロップでのブラフは上手くいかない場合もあります。
ただ少なくとも、ターンを見ることはできます。
こちら側に都合の良いターンのカードはたくさんあります。
例えばハートが出ればフラッシュドロー、J、9、6、5が出ればストレートドローになります。
上記のようなターンが落ちれば、こちらは問題なくブラフを継続することができます。
もちろん、8や7がヒットしてセカンドペアができる可能性があり、それによりこちらがベストハンドになることも多くあるでしょう。
・相手がチェックレイズをしてくる。
これは一見非常に悪い結果に見えるかもしれませんが、実際はそれほど悪くないです。
すんなりフォールドをして、また次の機会を伺えば良いだけです。
上記の結果を鑑みると、この状況で8♥7♥でのベットは「有効」と言えるでしょう。
今度は同じ例の状況で、AQoがきたとしましょう。
AQoはプリフロップで3ベットするのが一般的ですが、この例では、ただコールをしたことにします。
今度はもし相手がフロップでチェックしてきた時にあなたがベットするとしたら、どのような結果が考えられるでしょうか?
・相手がフォールドをする。
この結果は、あなたの方が強いハンドを持っている可能性は高いですが、現状Aハイというあまり強くない役でポットを獲得したことになるので、良い結果と言えます。
相手があなたのたった一回のベットに対してAQよりも良いハンドをフォールドする可能性は低いので、これは「ブラフ」とは言えないでしょう。
どちらかというと、プロテクションベットに成功したと言えます。
・相手がコールをしてくる。
これは微妙な結果です。
相手がコールをすることで、あなたよりも強いハンドを持っている可能性が高いということがわかります。
とはいえ、相手のほとんどのハンド(44-TT, J9sなど)に対し、あなたは2枚のオーバーカードでしっかりとしたエクイティを持っており、いくつかのハンド相手(A4s, A5s, KQsなど)には勝ってさえいます。
ただ、相手の全てのコールレンジを考慮すると、AQoは明らかに負けています。
なので、コールされるのはあなたにとって嬉しい結果とは言えないでしょう。
・相手がチェックレイズをしてくる。
この結果は、比較的悪い結果と言えます。
相手のチェックレイズのバリューレンジはTT, 44, 22, AA, KKなどがあり、それには完全に負けていますが、相手がブラフでチェックレイズをしてくるハンドに対しては、AQはしっかりとしたエクイティを持っています。
なのであなたは、ある程度エクイティがあるハンドをフォールドするか、ただのエースハイで相手のレイズに対してコールをするか、このどちらかを選ぶことになります。
上記の3つの結果を考えてみると、この状況でAQoは、ベットより「チェックをする方が良い」と言えます。
上記の例から学べる事としては、
「アクションを取るときは、なぜその判断をするのかを常に考え、相手のアクションに応じてその後どういった計画を取るのか、常に考えること」です。
自分のアクションによってどんな結果が生じるのか、常に考えることで、その場その場で最適な判断が可能となります。
おまけ:GTO通りのプレイが最善だと考えるのはNG
※ここからは中~上級者向けとなります。
ある程度ポーカーをやっている人なら、GTO(ポーカーゲーム理論)のことを知っているのではないでしょうか。
GTOとはGame Theory Optimalの略で、数学的に完璧なポーカーのプレイ方法であり、相手から攻略されることがないようにするためのプレイスタイルです。
つまり、あなたが完璧なGTO戦略を取れば、対戦相手はあなたと互角以上の戦いをすることは絶対にできないという戦略です。
現代のプロ達は実際にGTOを戦略のベースとしており、今となってはGTOはポーカー上達においては不可欠となりました。
ですが、GTOは常に最も収益性の高い戦略という訳ではありません。
極端に言えばGTO戦略は、GTO通りにプレイをしてくる相手に取れる最適な戦略です。
GTOは相手がどのような戦略をとっているかを考慮していないので、必ずしも一番利益的な戦略とは限りません。
例えば、一般的なポーカープレイヤー相手に対して、GTO通りのプレイがプログラムされたAIと、相手の傾向を分析してプレイを決める高性能AIの二種類があった場合、後者の方が圧倒的に利益を出すことができます。
GTOは、コーリングステーションに対しても、非常にタイトパッシブなプレイヤーが相手の時と同様にリバーで一定頻度でブラフをかけることを推奨しています。
「GTO的にはあのプレイは間違っていない」、そういった声は時々プロからも聞こえますが、もしあなたが非常にタイトパッシブな相手がリバーでベットをしてきて、それに対して中程度な強さのハンドでコールをして負けたとしたら、例えソルバーがコールを推奨しようがしまいが、それは「ミスプレイ」です。
繰り返しになりますが、ポーカーは完全に解決されているゲームではないので、完璧に最適なバランスの取れた戦略をとるプレイヤーはいません。
すべてのプレイヤーは何らかの形でエクスプロイトをすることが可能で、時には他のプレイヤーに比べよりエクスプロイトができる相手もいるはずです。
相手に対して取るべき最も利益的なラインは、状況に応じて、相手のアンバランスさにつけこんだ戦略と言えます。
常に「状況に応じて最適なプレイを選ぶために考え続ける」を意識してプレイをしましょう。
まとめ
本記事にある間違いのいくつかは、非常に上手いプレイヤーでも陥ることです。
常に自分のプレイを客観的にみることが非常に重要です。
本記事で挙げられたミスをしていないかを日々の自分のプレイで確認し、よりミスの少ない判断をしていきましょう。
以上となります。
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