ポーカー民の皆さんこんにちは。
本記事では「期待値」について解説していきます。
期待値はポーカーにおいて最も基本的なコンセプトの一つであり、しっかり理解をすることは非常に重要です。
期待値とは何なのか、なぜ重要なのか、どのように使っていくのか等、本記事で徹底的に解説していきます。
ポーカーの期待値(EV)とは?
「期待値(EV)」とは、簡単にいうと、
あるアクションを何百回(あるいは何千回)行った場合の平均的な結果のことです。
例えば、「10%の確率で100万円あたる宝くじ」と、「50%の確率で10万円あたる宝くじ」があるとしましょう。
どちらか一つをもらえるとしたら、あなたはどちらを選びますか?
それぞれの期待値を考えてみましょう。
「10%の確率で100万円あたる宝くじ」の場合、期待値は10%×100万円でEV=+10万円となります。
つまり、もしこの宝くじを何回も何回ももらえたとすれば、一回あたりの平均の貰える金額が大体10万円くらいになるということです。(EVはExpected Valueの略)
一方で、「50%の確率で10万円が貰えるくじ」の場合、期待値は50%×10万円でEV=5万円となります。
つまり、期待値の観点では、
10%の確率で100万円が貰える宝くじを選んだ方が「得」ということになります。
もう一つ少し応用した例を見ていきましょう。
今度は、1%の確率で10万円あたるくじを2000円で購入できるとしましょう。
この場合、あなたはこのくじを買いますか?
一枚あたりのくじの期待値を見ていきます。
当選:1%×10万円=+1000円
外れ:99%×2000円=-1980円
当選+外れ=-1980円+1000円=-980円
EV(期待値)=-980円
となります。
つまり、100回以上このくじを買うとしたら、1回あたり980円の損をすることが予想されるわけです。
買わないですよね。
では次は、同じくじを500円で譲ってくれる人がいたとします。
この場合は買いますか?
期待値を見てみましょう。
当選:1%×10万円=+1000円
外れ:99%×500円=-495円
当選+外れ=-495円+1000円=+505円
EV(期待値)=+505円 となります。
こうなると、この賭けは+EVです。なのであなたは購入することにしました。
その結果、外れて500円を失いました。
え?
当たり前ですが、期待値がプラスだからといって、必ず勝てる訳ではないです。
実際問題、99%の確率で外れることは初めからわかっているはずです。
重要なのは、
十分な頻度で賭けを行うことで、期待値は実現される可能性がでてくるということです。
ポーカーにおける期待値(EV)
ポーカーにおいて、期待値は当たり前に常に使われています。
例えばですが、あなたがもしAAを持っていて、相手からオールインが飛んできた場合、どのようなアクションを取りますか?
ある程度ポーカーをやっている方なら、何回もAAで負けたことがあります。
だからと言って、あなたはAAをプリフロップでフォールドすることはありません。
なぜならAAでプリフロップでオールインになれば、長期的に見て利益的なプレイとわかっているからです。
勝てるポーカープレイヤーになるには、
常に利益的な+EVのプレイをすること、それと不可避である負の分散(正しい+EVのプレイをしてもポットを失う場合)に抵抗するためにも十分な量の資金を投入することが重要です。
実際に期待値の概念を以下の例で使ってみましょう。
期待値の例:オールインするべきか否か
$2/$5のキャッシュゲームで、あなたが$300を持ってカットオフに座っていたとします。
ルースな相手がアーリーポジションから$20にオープンし、あなたは8♠7♠でコールをしました。
その他のプレイヤーはフォールドをし、ヘッズアップです。
現在のポットは$47です。
フロップ($47):5♠J♦2♠
相手は$40 のコンティニュエーションベットを打ってきました。
あなたはコールをすることにし、ポット額が$127となり、あなたの残りのスタックは$240です。
ターン($127):9♥
相手は$70をベットし、ポット額は$197になりました。
ポットオッズで考えてもコールするのは十分に合理的な選択ですが、オールインをした場合の期待値を考えてみましょう。
あなたは相手と過去にプレイしたことがあり、中程度の強さのハンドでもプレッシャーをかけてくるプレイヤーだとわかっているとします。
なので、あなたがもしオールインをすれば、そのプレイヤーは70%の確率でフォールドすると仮にわかっているとしましょう。
一方で、もし相手があなたのオールインにコールした場合、ポットを獲得するためにはドローを完成させる必要があります。
もし相手がコールした場合、相手はQJのようなトップペアのハンドで、あなたは34.09%のエクイティ(勝率)を持っていると仮定し、このオールインという選択が果たしてが+EVなのかどうか見てみましょう。
宝くじの例で使った計算と同じ方法でやっていきます。
あなたがオールインをした場合の最終的な結果は、以下の3つの可能性があります。
・相手がフォールドし、あなたがその場で$197を獲得。
・相手がコールし、あなたはドローを引けず、オールイン分の$240を失う。
・相手がコールし、あなたがドローを完成させて、計$367の勝利。(フロップ後にポットにすでに入っていた$127+相手のオールイン分$240)
まずは相手がフォールドした場合の期待値です。
相手がフォールドした場合:
プラス$197
次に、コールされた場合のEVを計算してみましょう。
(相手がコールした場合、あなたは$240を失うか、$367を獲得することになります)
相手がコールした場合:
ー 相手がコールし負けた場合:
0.6591 x (-$240) = -$158
ー 相手がコールし勝った場合:
0.3409 x $367 = +$125
コールされたときの全体のEV:
(-158.184)+$125.1103 = マイナス$33
なので、最終的なEVは以下のようになります。
相手がフォールド:0.7×$179=+$137.9
相手がコールする:0.3× (-$33) = -$9.9
オールインした場合の期待値:
$137.9 + (-$9.9) = プラス$128
計算の結果、この状況であなたはオールインを選択すると、+$128もの期待値が得られることがわかります。
よってこの場合は、
オールインが最も期待値プラスの選択と言えるでしょう。
しかし、ドローがあるからと言って必ずしもオールインをするが期待値プラスのアクションとは限りません。
期待値プラスのアクションを取る上で、考慮すべき点
相手の傾向
先ほどの例ではあなたの分析によって、相手はアグレッシブで、マージナルな(そこまで強くない)ハンドでもベットでプレッシャーを掛けてくるとわかっています。
この分析が正しい限り、あなたのオールインは非常に良いプレイと言えます。
ただ一方で、もし相手が非常にタイトなプレイヤーだったらどうでしょうか?
その場合だと、あなたのオールインがコールされる可能性が高くなるため、オールインすることによる期待値は大幅に減少します。
例えば、相手がタイトなプレイヤーで、ほとんど強いハンドを持っている時だけしかターンでベットをしないことがわかっているとします。
その場合、あなたのオールインに対して相手がフォールドする確率はほとんどなくなるので、勝つためには自分のドローを完成させることが不可欠となります。
そのような相手には、オールインよりもターンで相手のベットに対して、コールする方が良い選択となります。
つまりは、状況と相手次第で大幅に各プレイの期待値は変わってくるということです。
アウツが本当に存在するか
例に出したカードがブラフに適している一つの理由は、コールされたときに、絶対にドローイングデッド(どんなリバーカードでも負けてしまう状態)にはならないことです。
6やTが落ちればストレート、スペードが来たらフラッシュとアウツの数が多く、高いエクイティを持っています。
なので相手が頻繁にコールしてこないような場合には、オールインをするのに最適な状況といえるでしょう。
一方で、もし上記の例でのハンドが8♠3♠だったらどうでしょう。
もし相手があなたより高いハンドのフラッシュドローを持っていたり、A♠J♠を持っていたりすると
あなたはほとんどアウツがなくなってしまいます。
そもそも8♠3♠なんてカットオフからプレイしてはいけませんが、ここで重要なのは、あなたに「しっかりとしたアウツが存在しているかどうか」です。
相手の傾向、そしてアウツが本当にあるかどうかしっかりと注意しながら、どのアクションが一番期待値が高いのかを見極めましょう。
まとめ
この記事から、「期待値」はあくまで期待値であって、保証されているわけではないということがわかります。
ポーカーはスキルのゲームではありますが、運の要素もあり、それを避けることはできません。
負けの分散を小さくする唯一の方法は、できるだけ常に+EVのプレイをすることと、たくさんの量をこなすことです。
ポーカーの数学的基礎を理解し、他にも様々な定石を知ることで期待値がプラスの判断が多くできるようになります。
以上となります。
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