ポーカー民の皆さんこんにちは。
本記事では、「ドンクベット」について徹底解説していきたいと思います。
ポーカー初心者の方には、まずドンクベットがなんなのか、そして中級~上級者向けにはどんなタイミングでドンクベットを仕掛けるべきかを解説していきます。
もしあなたが今現在、ドンクベットがなにかをわかっていない場合、もしかすると今後上手いプレイヤーから狙われてしまう可能性があります。
とういのも、ある程度勉強したことのあるプレイヤーは、基本的にドンクベットをしません。
つまり、ドンクベットをすることによって、「私は初心者です!」と周りに言いふらしているようなものになってしまいます。
そうすると、上手なプレイヤーがあなたをエクスプロイト(搾取)しようとしてきます。
そもそもドンクベットとは?
「ドンクベット」とは、
前のストリートのアグレッサーではないアウトオブポジションのプレイヤーが先にベットする、やや異例なベットのことを指します。
※アグレッサーとは、ベットやレイズなどのアクションをした人のことを意味します。
例えば、プリフロップにおいて、アンダーザガンにいるプレイヤーがレイズをし、ビッグブラインドにいるあなたがそのベットにコールしたとします。
フロップが開き、あなたのアクションの番となりますが、もしあなたがそこでチェックではなくベットをした場合、
そのベットはドンクベットと呼ばれることになります。
これはフロップのベットに限らず、ターンやリバーでも同じです。
要するに、最後のあなたのアクションがコールだった場合、その後すぐにベットをするとドンクベットとなります。
(※あなたにポジションがあり、相手が先にチェックをした場合を除く)
ドンクベットは初心者がしてしまうミスプレイの典型と言われております。
ただ現在では、ハイレベルなプレーヤーはフロップでのドンクベットを戦略に加えたりもしています。
しかしもちろんですが、プロ達は気まぐれにドンクベットをするのではなく、いつ、なぜ、どのように効果的なドンクレンジを構築して、EVを最大化するかを正確に知っています。
しかし、まずは「なぜドンクベットをしてはいけないのか」正しく理解することが大切です。
ドンクベットをするべきではない4つの理由
ドンクベットは悪いプレイであることを知っていても、ほとんどの方がなぜドンクをしてはいけないのか、しっかりとご自分で説明できないのではないでしょうか。
ドンクベットは、以下の「3つの理由」でミスプレイとされています。
1.基本的にプリフロップレイザーのレンジの方が強い
ビッグブラインドからプリフロップのレイズにただコールした場合、こちらのレンジには上限があります。
(レンジについて理解が浅い方はまずは以下の記事をお読みください)
レンジとは?プロのようにレンジについて考える方法
ポーカーのレンジとは?
こちらは通常プリフロップで非常に強いハンド(AA/KK/QQ/AK/など)をスリーベットしていることから、
(これらのハンドはほぼ常に3ベットしないと期待値が大幅に減ります)強いハンドを主張することは困難です。
一方で、プリフロップレイザー側には強いハンド全ての可能性があるため、レンジがキャップされる(上限が定められる)ことはないです。
ポーカーでは基本的に、「相手のレンジの方が有利な時は、アグレッシブなプレイをするべきではない」という定石があります。
当たり前ですが、強さを主張している人に対して、そもそもベットをする意味がありません。
こちらがブラフをするにせよ、強さを主張している人に対してブラフをするのはリスクが大きいですし、こちらが強いハンドを持っているなら、相手がそのまま強さを主張し続けてベットをしてくれるのを待つ方が、より多くチップを引き出せます。
なので、相手の方が有利な土俵の場合は、大人しくチェックをしてまずは様子を伺うべき、ということです。
2. 貴重な情報収集の機会を失う
アウトオブポジションのプレイヤーは各ストリート(フロップ、ターン、リバー)で最初にアクションしなければならないため、ハンド全体を通して情報面においては不利な立場にあります。
ドンクベットをすると、このハンドではベット、このハンドではチェック、というように、自分のレンジを分けてしまうことになり、インポジションの相手のプレイヤーにこちらのハンドに関する余計な情報を渡してしまうことになります。
そうすると、もともとポジションがなく、情報的に不利だったものが、更に不利になってしまいます。
プリフロップレイザーに対してドンクベットをすることは、相手の情報を得るチャンスを放棄するのと同然となります。
3. 相手の高いCベット頻度を利用することができない
少し前までは、非常に高頻度でCベットを打つことが流行していました。
昔は、フロップでなにも絡まなければすぐにフォールドをする、という戦略を取っていた弱いプレイヤーがたくさんいて、強いハンドの時だけドンクベットをするということがよくありました。
このようなプレイヤーに対して、Cベットは非常に有効で、Cベットの頻度を100%にして、どんなフロップでもCベットを打つようにするプレイヤーは多くいました。
ただ今となってはポーカーを勉強する人が増え、チェックレイズされることも多くなり、プレイヤーのコンティニュエーションベットの頻度は下がりました。
とはいえ、多くのプレイヤーはまだ70%以上の高い頻度でCベットを打ってきます。
当たり前ですが、Cベットの頻度が高いということは、弱いハンドでもCベットを多くしてきているということです。
これを利用するために、こちらはチェックレイズするレンジの幅を広げることで、相手から最大限チップを取ることできます。
ドンクベットをしてしまうと、相手が弱いハンドでもCベットを打ってくるせっかくのチャンスを奪ってしまうことになります。
要するに、高いCベット頻度のプレイヤーに対しは、チェックをしてベットを引き出した上でレイズをする方が良い戦略となり、ドンクベットをするメリットはほとんどなくなります。
※コンティニュエーションベットの最適な頻度については別途こちらの記事で解説しております。

ドンクベットをしても良いタイミングとは?
ここまで、ドンクベットををするべきでない理由をいくつか述べてきましたが、ドンクベットをすることがOKなタイミングを見ていきましょう。
ビッグブラインドからプリフロップのレイズをコールした場合、こちら側はプリフロップレイザーが持っていないようなハンド、例えば小さいポケットペア、スーテッドギャッパー、オフスーツのコネクターなどのハンドを持っている可能性が相手より高いです。
つまり、フロップのテクスチャーによっては、プリフロップレイザーが持ちえないツーペア、セット、ストレートを持っていることで、「ナッツアドバンテージ」を得ることができます。
オリジナルレイザーのレンジには、高めのカードで構成されているハンドやスーテッドのAxのようなハンドが多く含まれています。
つまり、ボードによっては(例:6♠4♥3♣のフロップなど)、プリフロップレイザーはレンジの大半でボードに全く絡んでいない可能性があります。
ドンクベットは、こういうボードの時に、インポジションである相手のプレイヤーがチェックバックをして、無料でターンを見て、その相手が持っているハンドのエクイティを実現するのを防ぐ、唯一の方法であるといえます。
つまりは低から中程度のカードで構成されているフロップの場合、ターンでオーバーカードが出ることが多くなり、そうなると相手のレンジに有利なボードになってしまう可能性があります。
相手が無料でターンを見るのを防ぐために、ドンクベットをすることは許容できるといえるでしょう。
もう一つの場合ですが、
「相手が高い確率でチェックバックをしてしまうような場合」ドンクベットはしてもOKです。
例えば、あなたがA♥6♥を持っていてポジションがない状況だとしましょう。
ターンまでが、K♣ 7♥ 5♠ 4♠で、あなたは相手のベットに対して、オープンエンドのストレートドローがあるためコールしたとします。
リバーで3♥が出て、6を一枚でも持っていればストレートが完成するボードとなったとします。
この場合、あなたがチェックすると、相手がもしストレートを持っていなければ、警戒して強いペアやセットなどでもチェックバックしてくる可能性が高いです。
そうすると、せっかくストレートが完成したのにバリューが取れなくなってしまいます。
そのような場合にはあなたはドンクベットをすることで、相手のツーペアなどのハンドに向けてバリューベットをすることができます。
なおこの考え方は、リバーだけではなく、フロップでも応用ができます。
例えば、UTGにいるプレイヤーがオープンレイズをし、ビッグブラインドのあなたがコールを選択したとします。
フロップは5♠4♠3♥で、コーラーであるあなたのレンジに非常に有利なボードが落ちたとしましょう。
この時、GTO(ポーカーゲーム理論)を勉強している上手いプレイヤーであれば、あなたがチェックをしてもこのボードでCベットは打ってきません。
なぜならこのボードはビッグブラインド側にナッツアドバンテージがあり、オリジナルレイザー側がストレートやセットなどの非常に強いハンドを持っている可能性が非常に低いからです。
相手がほぼ100%の確率でチェックバックをしてくるということは、もしこちら側がセットやストレートなどを持っている場合、フロップでバリューを取り逃がしてしまうということです。
なので、このようなボードでは、「ブラフとバリューのバランスが取れたドンクベット」を打つことが効果的になる可能性があります。
バランスの取れたドンクベットのレンジを作る方法
※こちらは上級者向けへの解説となりますので、初級~中級の方は飛ばしていただいて構いません。
※また、このセクションはUpswingPokerの英文記事を参照しております。
ドンクベットのレンジを構築する方法は、基本的に他のベットするレンジを構築する場合と同様です。
まず、バリューベットをしたいハンドを把握し、その後、適切な量のブラフとバランスを取ります。
チェックした場合に相手が積極的にベットをしてくることを防ぐために、チェックレイズとチェックコールのレンジにも強いハンドを残しておくことも必要です。
例えば、$1-2、 9ハンド、100BBの有効スタックと仮定し、
LJが2.25BBにオープンレイズし、BBのあなたまでフォールドで回って、あなたはコールしたとします。
フロップ (5BB) 8♦ 7♣ 5♣.
以下のレンジで、ビッグブラインドのあなたはコールをしたとします。

こちらは合計で307通りのコンボ数があります。
8♦-7♣-5♣ でのボードテクスチャーを分析すると、以下の要素からドンクベットのレンジを構築することを検討することができます。
・こちらにナッツアドバンテージがある
(プリフロップレイザー が持っている可能性の低いストレートやツーペアのハンドがある)
・プリフロップレイザーのレンジには、多くのオーバーカードがあり、それらはこのフロップでミスしている。
・ボードのテキスチャーを変えるターンカードが多くある。
サイズに関してですが、小さいサイズを使えば、ドローの時に安くターンカードを見ることができ、つまりはブロックベットとなります。
大きなベットサイズをドンクベットをする時に使うのはお勧めできません。
大きいベットをする場合、こちらのベットレンジはポラライズされ、非常に強いハンドか比較的弱いドローのどちらかでしかベットができなくなります。
そうなると、こちらのチェックレンジが弱くなりすぎてしまいます。
一方で、小さいサイズのベットを使えば、様々な強さのハンド(ハンドとドローの両方)でベットすることができ、ドローの際にターンカードを安く見に行くことも可能となります。
今回の例では、25%のポットベットサイズを使用します。
バリューベットとブラフベットのバランスを取ると、以下のようなレンジを作ることができます。

赤=バリューベット 緑=コール ピンク=ブラフベット
※このボードでは双方のレンジ対レンジの勝率が非常に近いため、「ブラフ」と「バリュー」を明確に区別することはできないです。
ここでは、307通りの組み合わせのうち44通りのドンクベットを選択し、ドンクベットの頻度を14.33%にしました。この44組のうち、バリューベットハンドは以下の11組で、ブラフが33組です。
このレンジは、様々なターンカードでも対応ができ、セットやストレートなど、相手がレイズしてきた場合にもリレイズできる非常に強いハンドがあります。
もちろん、チェックレンジにも強いハンドを多く残してあることもわかります。
よって、もしあなたがドンクのレンジを作るときは、以下のことを考慮してください。
・色々なターンカードによってインプルーブする、多くの違う種類のドローを含めること。
・ターンカードを安く見るために、ベットサイズを小さくする。
・フロップで、相手からレイズが来た際にもリレイズできるような非常に強いハンドを含むこと。
・チェックレンジが弱くなりすぎないようにする。
・チェックレイズ戦略にどんな影響を出るかを考える
参照:UpswingPoker
結論:ドンクベットは基本的にしない
小さめのドンクベットのレンジを作ることで、期待値が上がる状況もあります。
しかし、バランスの取れたドンクベットのレンジを構築することは実際には非常に難しいです。
もしそのレンジが適切にバランスされていなければ、ドンクベットはチェックコールやチェックレイズを取る戦略より「大幅に損」となります。
フロップでドンクベットの戦略を持つことは、強いプレイヤーになるために決して必要なことではないです。
ただ、もしあなたが既に他のチェックレイズやチェックコールの戦略を完全にマスターしているのであれば、ドンクベットの戦略を取り入れることで、引き出しの多いプレイヤーになれるかもしれません。
もしドンクベットの戦略を取り入れたいのならば、本記事で解説したことをしっかりと考慮し、ゲームに臨んでいただければ幸いです。
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